海外組と日本組を比べるな

今週は、

ラーメン界のカリスマ二人と

お話しする機会があった。


一人は20代で情熱大陸にも出た、

ラーメン業界で知らない人はいない情熱の人、

もう一人は来年47都道府県でお店を立ち上げる、

笑顔と夢を広げる人、

世の中にはほんと面白い人がいるもんだ。


そして二人とも共通して言ってたのが、

日本とアメリカは全然違うってこと。

そしてその違いに”日本人”として

対応していくことがいかに難しいかということだ。


二人は最初日本でお店を出し、

それからアメリカでお店を出した経験を持つ。

日本の常識はアメリカでは全く通用しないし、

アメリカの常識は日本では全く通用しない。

そしてこの間のバランスをいかに取るのが難しいかというのは、

僕もジャパンフェスを通して痛感している。


めちゃくちゃ面白かった二人の話は、

僕だけの記憶に留めることにして、

今日は改めて言いたいことを。


「海外組と日本組を比べるな」


よく日本では30歳までにはこうでないといけない、

って言われる。まぁそれは日本人として日本で

教育を受けた身としてわからんでもない。

日本人は90%が同じようなバックグラウンドで

同じように言語を話し、見た目も同じようだし、

総中流国家だから、だいたい同じような進路を歩む。

だから30代の「目安」みたいなものができるんだろう。


でもこれはあくまで「日本での目安」であって。

海外に出ると話が変わる。ルールが変わる。

今まで日本で積み上げて来たものが

ゼロになるどころか、

日本で持っていた特権をほとんど失うため

マイナス100点からスタートすることになる。


失う特権1 国籍

・長期滞在の権利、働く権利すら無くなる=マイナス40点

失う特権2 言語

・人間社会の土台である第一言語の優勢性を失う=マイナス30点

失う特権3 経験

・今までの積み上げて来た人脈、学歴、日本でしか通用しない知識がほぼ役に立たなくなる=マイナス30点


これは海外に出た途端、

いきなり窮地に立たされることを意味する。

なんとドMな海外組。


そりゃよくアジアやアフリカの人たちから、

「何で素敵な日本を出てわざわざアメリカになんて来たの?」

と聞かれるわけだ。


人生一からやり直し、

とよく言われるが、

海外はマイナス100点からやり直し、

なのだ。


つまり何が言いたいかというと、

30歳までにどうのこうのというのは、

日本にいる日本人にしか当てはめちゃいけないってこと。


なぜ僕がここまで何度も同じこと言うかというと、

マイナス100点になる覚悟で海外に挑戦してる若い日本人に対して、

とやかく足を引っ張る発言をする日本人があまりに多いからだ。


それは海外に行きたくても行けなかった嫉妬から来てるものなのか、

自分は日本でうまく行ってるから自慢したいだけなのか、

暇なのか。


理由はよくわからないが、

経験してないことを偉そうに語ることほど恥ずかしいことはない。

何より挑戦する人を邪魔するような文化は早く消えてしまった方がいい。


ぶっちゃけ海外ではマイナスからゼロまで持っていくまでに、

最低でも5年はかかる。「ゼロ」までに5年だ!

僕の場合、6年で永住権がとれ、

英語はいまだに大して上達してないから、

まだマイナス30点くらいだろう。


もう10年にもなるのにマイナスだ!


これでも僕はよく

アメリカでは早い方だと言われる。

それが海外組の厳しい現状だ。


もっと優しく見守ってあげてよ日本人。

僕らは敵じゃなく、仲間なんだから。

応援し合って協力し合った方が

これからの時代、絶対お互いの為になる。


そしてこれから海外に本気で挑戦する人は、

マイナス100点スタートを覚悟の上で挑戦してほしい。

数年で成功しようなんて思ってるなら、絶対にやめた方がいい。

たぶん短期的な視点だと1年から3年という中途半端な状態で

帰国せざるを得なくなる。


そういう人をこの10年で山ほど見て来た。

どうせなら納得できるまで挑戦してもらいたい。

途中で諦めるくらいなら、見事に散ってほしい。


海外挑戦は50m走じゃない。

重りを背負ってスタートするマラソンだ。


ほんと鍛えられるよ