人は好きなことだけで食っていけるのか?

好きなことだけやって食べていきたい、

 

これは誰もが理想としている生き方だろう。
自分もなんとなくそこを目指して生きて来た。
でも本当にそんな生き方は可能なのだろうか。

 

例えば、たまたま好きになったスポーツが
野球やサッカーだったらいいが、
それがクリケットやスキージャンプだったら、
食っていけるのか。
たとえ日本一になったとしても簡単ではないと思う。

 

ニューヨークに来て色々なジャンルの人と
話して確信したのは、世の中には
食える仕事と食えない仕事があるということだ。
正確に言えば食いやすい仕事と
食いにくい仕事がある。

 

ウォールストリートのような
金融街で働いている人はめちゃくちゃ
食える。でもジャズミュージシャンやバレリーナ、
オペラといった業界はどれだけ上まで
いっても限界がある。それだけで
食えるようになるには世界のトップ中の
トップにならないと厳しいだろう。

 

つまり好きなことだけで食えるかどうかは
”何を”好きになるか、で決まるのだ。

 

好きなことを続けていれば
お金はいつかついてくる。
こういう話しをよく聞くが、
まぁそういうこともあるだろうが、
冷静にリアルに考えるとジャンルによって
確率は大きく違うのだ。

 

IT系の社長の中には、
副業でパソコンをいじっていたら
当たって大企業になった、という
人がけっこういる。
それは好きになったITが
たまたま食える世界だったからだ。

 

もし粘土細工を好きになったら
大企業には到底なっていなかっただろう。

 

ニューヨークには日本での食える仕事を捨てて
「食えない、けどやりたい仕事」をやりにきた
アーティストがたくさんいる。
簡単に食っていける世界ではないため、
バイトと両立させながら生きている人が
ほとんどだが彼らに後悔の色はない。

 

むしろすごく輝いている。
大事なのは好きな事をやることであって
好きなこと”だけ”をやることじゃない。
食える仕事じゃなかったら
バイトや他の食える仕事もやればいい。

 

無理に好きなことを仕事にしようと、
自分の好きなものより、
売れるようなものをつくって、
本当に好きなことが嫌いになる
アーティストもたくさんいると聞く。

 

”好きな仕事だけで食っていく”

 

この固定観念に食いつぶされてしまうのだ。

 

こういう風に考えると、
好きになった仕事が
たまたま食える世界だった人は
うらやましいと思うかもしれない。
でも彼らは本当に好きなことだけ
やり続けられているのだろうか。

 

どうやら違う。

 

サッカーの香川選手や本田選手は
好きなサッカーはしているが、
好きなポジションで出ているか、
好きな試合に出れているか、
と言われればそうでもない。

 

好きなこと、の中を具体的に
みればそこには必ず
嫌な事、好きではない事、
しんどいことがたくさん
混ざっているのだ。

 

日本に帰ったときに、
お世話になってる経営者の
先輩言われたことが印象的だった。
「山本の方が好き勝手自由にやってるよ」
ビジネスマンの中で経営者が
一番自由で好きに生きれると思ってた。

 

でも好きな仕事で起業したとしても、
やがて社員を雇うことになる。
社員を雇うと給料を払わないといけない。
給料を払うためには、
好きな仕事ばかり選んでられない。
嫌いな仕事でも売上が上がる仕事は
断れないって事がたくさん出てくる。

 

さきほどのIT社長の例でいっても、
同じだろう。売上を上げるための事業と好きな事業、
好きな営業の仕事と、嫌いな経理の仕事、
”独立”といってもリアルに細かく見ていけば
誰だって必ず好きじゃない仕事もある。

 

そう考えていくと、
好きなことだけやって生きていくのは
不可能なのかもしれない。

 

自由=かっこいい でも全然ない。

 

苦労があるからこそ幸せを感じ、
不自由があるからこそ自由を感じるように、
好きじゃない仕事があるからこそ好きな仕事を楽しく
感じるがことができるのだ。

 

白か黒かじゃない。白があるから黒があるのだ。

 

「好きなことだけして食っていく」

 

どうやらこれは理想とするべきではなく、

 

「好きなことを見つける、
好きなことやりながらなんとかして食っていく、
好きなことをなんとか続けていく。」

 

これが目指すべき方向だと思う。


 
 

書いてる人ーDRAGON

岡 山 県 出 身 。 同 志 社 大 学 を 卒 業 後 、人材コ ン サ ル ティング会社を経て、2011年1月1日にニュー ヨ ー ク へ 。16年 か ら 不 動 産 、イ ベ ン ト 、 飲 食 、留 学 プ ロ グ ラ ム を 手 掛 け る「 J f o r w a r d 」を 設立。

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