ウーバーで大統領選について論戦

ニューヨーカーはトランプが嫌いだ。


スーパーチューズデイまであと2日となった。

スーパーチューズデイとは大事な日を決める日の総称で、

アメリカ大統領選挙の投票日となっている。

なぜ火曜日かと言うと、

キリスト教では日曜日は教会へ行く日であり、

昔は選挙の投票場所まで1日かかることもあったため、

投票日は伝統的に火曜になったと言われる。


トランプは毎日数千人を集めて、

有名ミュージシャンさながらの

選挙ツアーを繰り広げているが、

ここニューヨークに来ることは絶対にない。


それはニューヨークでは勝てないからだ。

この州では伝統的に民主党がずっと勝っており、

トランプ属する共和党は勝ったためしがない。

トランプはニューヨーク出身にも関わらずだ。


実際、ニューヨークの人は選挙となるとトランプが嫌いだ。

2016年はヒラリーが30%近く差をつけて勝ってるし、

今年の予測も大きく変わらなそうだ。


この数日、ウーバーに乗る度に、

運転手に選挙について質問をしている。


「もう選挙に行った?」


ひんやりとした空気が一瞬流れる。

それだけ選挙の話は思想が反映するので、

アメリカ人でも敬遠することが多いのだ。

タクシーの運ちゃんは、

白人のアメリカ人のおっちゃんだった。


誰に投票するかをオブラートに隠していたため、

僕もダイレクトには聞かず言葉から感じることにした。


「We  can win this state」


We という言葉を聞いて、

彼はバイデンに入れることがわかった。

そのあと選挙の仕組みから、

上院、大統領、下院の関係性がいかに

大事かを到着地に着くまで熱くなって語り出した。


アメリカの大統領選挙への熱はワールドカップ以上だ。


帰りのタクシーでも同じように話を繰り出した。

「もう投票した?」

「俺はまだ投票権はないんだ。本当は今頃アメリカ人だったんだけど、コロナのせいで手続きが伸びて来年になったんだ」

彼はまだアメリカ人ではないため投票権はないようだった。

「僕と一緒だね、もし投票権があったら誰に入れてた?」

「バイデンもトランプも両方ダメだが、トランプは論外だ」

やっぱり反トランプか。

「なんでそう思うの?」

「なんでってあいつは嘘だらけだ、何一つ実現してない」

「メキシコとの間に壁作ったり、中東の平和条約3つ結んだり、言ったことはしてると思うよ」

「そんなもの実際大した意味はない」

「じゃぁバイデンは47年間何かしたのかな、比較して考えないとね」

「それはよくわからない、でもトランプダメだ。君は選挙権があったら誰に入れる」

「トランプだよ」


話が燃え上がりそうになったので、

そろそろこの辺にしとこうと思い、

最後に一つだけ質問をしてみた

「ところで君はどこ出身?」

「シリアだ」


シリア!

数年前にトランプが攻撃してたー

そりゃトランプ嫌いだよ。。


ニューヨークは本当に複雑だ。

いろんな人種が「アメリカ人」として生活している。

こんな国が一つに綺麗にまとまるわけがない。

90%以上が生粋の日本人とはわけが違う。


アメリカの大統領、

これは世界で一番難易度の高い職業だと

心から思う。


アメリカのメディアは90%以上の確率で

バイデン勝利と予測している。

イギリスのブックメーカーも

アジアのニュースも全てトランプ勝利だ。


4年前に同じ流れでトランプ勝利を

予想できなかったメディア。

そこからフェイクニュースと言う言葉が

世界中で当たり前になった。


もしトランプが勝てば、

メディアの信頼は地に落ちるだろう。


だが僕はトランプが勝つと思う。

今は危機時だ。

危機時に綺麗事は通用しない。

危機時に必要なのは、言葉ではなく実行力だ。


トランプは言葉は汚いかもしれないが、

実行力はハンパない。

74歳でコロナから3日で復活し、

毎日飛行機で1日3回の選挙ツアーを周っている。

これ一つとっても尋常じゃない。


あと二日。

世界の流れが大きく決まる。